はたらく

会社員からのフリーランス座談会「このまま会社にいていいの?」覚えだした違和感(前編)

「今のライフスタイルは、本当に自分が望んでいるものだろうか?」そんな疑問がふと頭に浮かぶことって、ありませんか?

今回は、会社員からフリーランスという道を選んだ3人による座談会をお届けします。会社員時代に感じた疑問、葛藤、自分と向き合い本当に生きたい人生を見つけるまでを、熱く語り合いました。

フリーランスになりたい人、会社を辞めたい人、よりよいライフスタイルについて考えたい人、何かしらの人生の岐路にいる人の参考になれば幸いです。

太田

会社員:7年/フリーランス:5年
大阪府出身。東京の大手電機メーカーでシステムエンジニアとして働いた後、2018年に糸島へ移住。現在はフリーのシステムエンジニアとして活動中。他に、コミュニティスペース「みんなの」スタッフ、シェアオフィス「糸島よかとこラボ」のコミュニティマネージャー。

指方

会社員:5年/フリーランス:4年
福岡市出身。大阪のデザイン事務所で働いた後、2017年に糸島へUターン。現在はフリーランスのグラフィック&WEBデザイナーとして活動中。「糸島よかとこラボ」のデザイナー兼コミュニティマネージャー。

山部

会社員:4年/フリーランス:3年半
大阪府出身。東京の出版社に就職し、編集者として働いた後、2019年に糸島に移住。現在は「糸島よかとこラボ」のコミュニティマネージャー兼フリーライターとして活動中。この記事を書いた人。

フリーのSE、デザイナー、ライター…って、普段何してるの?

山部:まずは、今どんな仕事をしてるのか教えてください。

太田:僕はSEで、いわゆるDXっていう、デジタルトランスフォーメーションのお手伝いをしてますね。ちょっと前までIT導入支援って言ってたけど。

指方:DXって何の略なんですか?

太田:デジタルトランスフォーメーション(笑)

指方・山部:はははは(笑)

山部:前の会社辞めてフリーになったけど、そこと契約続けてるんでしたっけ?

太田:いや、前の会社とは特に契約してないですね。今は中小企業や個人を相手に、社内システムの構築や運用、ホームページ作成、サービスの企画・設計・構築、業務改善とか、ITに関わることは全部やるって感じですね。

指方:私はグラフィックデザイナーで、ロゴやチラシや名刺を作ったり、ビジュアルの全体的なバランスを考えるディレクションをしたり、あとは糸ラボ(※シェアオフィス「糸島よかとこラボ」の略)のインテリアデザインとか。頼まれたら、楽しそうなら何でもやる感じ(笑) 

山部:私はライターをやってます。去年まではいくつかの会社のSNS代行をしてたんですけど、ちょっと疲れてやめて、今は校正の仕事とか、アパレル会社のインスタのコピー書いたり、登山雑誌の記事書いたり。

自分がフリーランスになるとは、全く思ってなかった

山部:最初からフリーになろうと思ってました?

指方:私は半々ぐらい。就活で企業に入る方向がうまくいかなくて、デザイン事務所に入ることになったから、「これはもう独立するんだろうな」って漠然と思いながら働いてた。

山部:けっこう最初からなんですね!

指方:そうそう。一通り全部できるところだったから、「吸収しよ」って思ってやってた。

山部:周りの同僚も独立前提で働いてたんですか?

指方:前提じゃないけど、やっぱり事務所行く人はどこかに独立の文字が見えてると思う。そうじゃない人は代理店やメーカーのデザイン職に行くし、それでも辞めて自分でやる人もいるくらいだから。

山部:太田さんは?

太田:フリーになるとは…思ってなかったよ(笑)

一同:ははは(笑)

太田:むしろ就職したときは、ずっとこの会社にいるもんやと思ってたもん。

山部:かなり大手ですもんね。有名電機メーカー。

太田:会社の同期もほとんどそういう感じちゃうかな。最初辞めようと思って入った人少ないと思う。

山部:へー!私も、辞めようと全く思ってなかった。私、出版社入るために就職留年してるんですよ。

太田:すげえ!

山部:最初の1年、超大手の出版社10社くらいしか受けずに全滅して、また来年受けようと(笑) 翌年は30社以上受けて、滑り込みました。そこまでして入ってるので、辞めるつもりは全然なかったです。

太田:就活で留年ってすごいな。

山部:出版社は多いんですよ!採用人数少ないから。私の同期5人のうち、ストレート1人だけだったし。

太田:面白い。

山部:フリーになるつもりは全然なかったし、なれるとも思ってなかったですね。

作業が始まるのは夜から…家に帰れない日々

山部:会社ではどんな仕事をしてましたか?

指方:百貨店の顧客様に送る、ファッションカタログを作ってました。写真を撮る設定を考えて、ブランドのお洋服やバッグやアクセサリーを撮って、モデルの撮影をして。あとは会社のブランディングやったり、インテリアも考えてた。

モデルやカメラマンのブッキングで事務所にひたすら電話して、キャスティング押さえて、小道具の手配やって、クライアントさんのところに打ち合わせ行って、帰って作業してって日々で。

太田:何でもやるんやね~。

山部:仕事量ヤバそう。

指方:全然終わらんかった。基本日中は打ち合わせで終わって、作業は夜やってたから。私がいたところは下の子も打ち合わせに同行するシステムだったから、全然帰れなくて(笑) それが楽しくもあったんだけど。

山部:太田さんはどうですか?

太田:僕は開発部門に行きたかったけど行けなくて、最初は運用部門に配属されて。そこは、決まったことを正しく間違えずにやるっていう、オペレーション部隊。そっから、新しいサービスの企画・設計とかの上流工程から現場教育もしたり、数億円規模のプロジェクトとか、同じプロジェクトに3年関わるとかもありましたね。たまに問題物件とかあったら火消しに回されて、その日から3日間は自分のデスクに帰れないとか。

山部:デスマーチだ!

太田:そうそう(笑) 3~4か月ぐらい終電帰りとか。そんな仕事も今ではいい思い出やね。

山部:私は、最初の2年は小説の編集やってて、作家さんの原稿取りに行ったりとか。

太田:それって、後から原稿の修正とかできるの?

山部:普通はプロットを作って、内容詰めてから原稿書いてもらうので、そこまで大幅な変更はないですよ。まあ、たまに「言ってた話と全然違いますよ!」ってこともあるんですけど。「このキャラ、無口なとこがよかったのに喋り始めたぞ!セリフカットしてください!」とか(笑) けっこう楽しい作業ではあります。

指方:たしかに、面白そう。

太田:世界観を一緒に作り上げていくんやね。

山部:その後は1年くらい管理部門に行って、最後の半年ちょっとは週刊誌にいましたね。

「会社以外の出会いを増やそう」生まれた危機感

山部:なんで会社を辞めて独立しようと思ったんですか?

指方:私は、体調を崩したからに尽きるんですけど(笑) もう強制終了みたいな感じで。偏頭痛がひどくなって、普通の生活ができなくなっちゃって。休養することになって、これからどうしようかって考えたときに、偏頭痛って波があるから、それに対応するにはフリーランスしかないって思って。週5勤務とか厳しいし、体力も落ちちゃってたから、自分で休む休まないをコントロールできないと対応できないし。

山部:体調崩したのは過労が原因で?

指方:過労とストレスだね。でも休養中も、友達の結婚式のグラフィックを頼まれたときは引き受けてて、それが楽しかったんだよね。「あ、やっぱ自分はこれがやりたいんだ」って思って。偏頭痛の人って日本では5人に1人くらいいるんだけど、そういう人は会社勤めだったら、症状出たら横にならせてもらうとかで対応してるんだよね。でも、私は性格的にそういうのできないタイプだから。

太田:頑張っちゃうんや。

指方:海外には「梅雨の時期は偏頭痛ひどくなるから休みます」みたいな暮らし方してる人がいて、「そういう生活すればいいんだ!自分でコントロールできればこの仕事続けられるんだ」と思って。

山部:太田さんはどうですか?

太田:3年目くらいになると、今後会社で自分がどういうポジジョンに進んでいくのかとか、こういう先輩や上司になるんだって、見えるときがあるじゃない。

指方・山部:見える見える!

太田:最初は「終身雇用だしこんなもんかな」と思ってたけど、だんだん「これで大丈夫か?」って思うようになってきて。上司に憧れられないし、みんな家族ほったらかして残業して、上司が自分より早く帰る日なんて、年に1日あるかないかとか。

まだ会社を辞める選択肢はなかったけど、会社以外の出会いを増やそうと思って。会社以外の人たちと出会って遊んでると、全然自分のイメージしてない働き方とか家庭観とかがわかってきて、そっからじゃないかな。

山部:会社には何年いたんでした?

太田:7年。残業代はちゃんともらえてたし、仕事自体は嫌じゃないし、転職しても根本的には変わらないなと思って。フリーランスになりたかったわけじゃないけど、色々な人に出会う中で、ここでそういう選択肢もやっとかないと、もう2度と行けないなって。29歳だったから、後でもう一回就職してもいいなと。

指方・山部:うんうん。

太田:タイミング的に、2年間の海外勤務とか24時間交代制の深夜勤務の話とかがちらほら聞こえてくる時期で、いざその話がきたときに「そこ入るんやったら、もういいです」っていうのも重なって、辞めたみたいな。

山部:29で深夜勤務はきつい。

指方:きついね~。

山部:そのときはもう結婚してたんですか?

太田:いや、まだ独身やね。結婚してたら辞めてないと思う。1人だったから辞めれた(笑) それまでに色んな人と出会ってたから、仕事ももらえそうだし、食いっぱぐれることはないと思ってた。辞めるときに、上司に「昇格レースでおまえはこのへんにいるぞ、もっといけるぞ」って言われて(笑)

山部:悪魔のささやきが(笑)

太田:辞めてから3年後ぐらいにその上司に電車でたまたま会って、そこで「あのときのお前の選択は正しかったぞ」って言われた(笑)

フリーランスというより、ニートになりたかった

山部:私が辞めた理由は、組織に適合できないっていう(笑) 人間関係はよくて、みんな優しかったんですけど、土日しか休めないとか、ちょっと無理だなって。

指方:それすら?(笑)

山部:週5で会社に行かないといけないことが、もう苦痛なんですよ。管理部門にいたときも、定時に行かないといけないのに私だけ毎日10分ぐらい遅れて行ってて。

太田:社会人としてどうなのかっていう問題が(笑)  

山部:一応毎日間に合うように出ようと思うんですけど、治らんくて、もうこれでクビになるなら仕方ないなって。

指方:仕方ないことなの!?(笑)

山部:まあ、なぜか怒られなくて許されてたんですけど、罪悪感は感じるんですよ。自分がハマってないってことに。

太田:周りの視線気になりだしてるんや(笑)

山部:それで、労働意欲もどんどんなくなってきたし、働かずに生きていける道を探してて、ニートの人のブログとかいっぱい読んで。地方に移住したら固定費安いし、全然働かず生きていけるってことに気付いて。だからフリーランスになろうとかじゃなくて、ニートになろうとしてたっていう(笑)

指方:極端じゃない?(笑)

太田:何歳のとき?

山部:27とか?私も、会社の先輩見てて「定年までいたらこうなるな」ってわかるんだけど、私の望んでる形じゃないような気がして。

指方:私もそれはめっちゃあった。どっかで違和感感じてて、感じ始めたら苦痛になるよね。

山部:たぶん、先の道が決まってるのが嫌なんですよね。会社にいると、大体わかるじゃないですか。私がいた会社は本社しかなかったから、働く場所も人もそんなに変わらないだろうなって。

太田:わかる。変化は絶対あったほうがいい。1年後同じ仕事しててもね。

指方:私もルーティンワークできない。

山部:みんなけっこう、変化が好きってことですかね?

指方:変化は好き。変化ないとつまらないよね。

太田:そうやね。なんか変化見つけていかないとマンネリ化していくよね。

<後編につづく>
https://itofessional.com/2021/06/24/talk-4/

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